知らない駅

‪夜、知らない駅でキーボードを背負っていた。きっと部活かなんかの帰りだったのだろう。

 

駅の中、少し離れたところにかつて憧れのような小さな恋心のようなものを抱いた人が見えた。その人もギターを背負っていて、きっと学校の帰りで、側には友達と思われる人が2人いた。

 

私はなんとなく声をかけづらくて、でも彼に気付いて欲しくて、窓から満月をのぞいているフリをしてそこに立っていた。

 

「久しぶり」

「何してたの?」

「月を撮りたくて」

「でもカメラを持っていないの」

「まだバンド続けてたんだね」

「あなたも」

「そういえば、就職が決まったよ」

「またこっちに戻ってくるの」

「そっか、おめでとう」

 

午後6時前、ご飯を作るから手伝って、と母の声で目を開けた。長い昼寝をしてしまった。

 

剥き出しの蛍光灯に虫が飛んでいるような、掲示板のチラシは剥がれかかっているような、あまりきれいな駅ではなかったけれども、少し開いた待合室の窓からは満月が見えて、

きれいな夢だった。‬

沖縄旅行

高校の頃ずっと好きだった人と沖縄で遊ぶ夢を見た

 

わたし沖縄行ったことないしあんまり知らないんだけど、私の夢の中の沖縄は知らない国のようでワクワクした

 

そしてその人に会えたことが嬉しくて泣きそうになった

 

けれど彼氏がいることを夢の中で思い出して申し訳なくなった

 

帰りの飛行機に2人で乗って、その人の顔を眺めていたらすごく切なくなった

私の日常

「外出自粛」

 

と言われたときは、普段から外に出るほうではないから苦でもないなと思った。むしろ、大学の講義もオンラインになるし就活もWebでラッキー、と。

 

過ごしてみて分かったのは、私は「外出しなくてはいけない」から「外出したくなかった」ということ。

 

つまり、私の出不精は「大学に行って講義を受けなくてはならない」から「大学に行きたくない」だったのか。

 

最近の毎日は睡眠、YouTube、映画、漫画、好きだけど、飽きる。褒められたことではないけれど、大学をサボって気の済むまで惰眠を貪るのが好きだった。講義に行かずにベッドの中で観るYouTubeの方がワクワクしたし、映画も漫画も背徳感があって何処か特別だった。

 

今は如何だろう。疲れないので朝7時には目が覚めてしまう、YouTubeは流し見するようになった。観たいと思っていた映画や漫画もあまり魅力的に感じなかった。

 

天邪鬼だとかそういうことではなくて、要するに何が言いたいのかというと、単にダメだと言われたことをしたかったのだと思う。

 

大学入学までの私は、所謂優等生だった。委員長や生徒会なんかもやったし、内申点のために必死で勉強した。幼い頃からなんとなく大学に入ることは当たり前だと思っていた(思わされていたのかもしれないが)。小中とテストでは満点を取ることが全てだったし、高校は進学校で周りに置いて行かれないように、と必死だった。

 

ところが大学に入ったら如何だ!

なんて自由なんだ!

 

自分だけの部屋、兄弟喧嘩も母親の怒鳴り声も聞こえない、好きな時間に寝られる、夜遅くにラーメンだって食べられるんだ。お酒だって覚えた、それこそ記憶がなくなるまで。自分で全てを決められた。もう一度言うが、褒められたことではないけれど大学にはあまり真面目に通わなかった(頑張って卒業しようね)。それだって、教育を受けるかどうか自分の気分次第だった。

 

 

いい意味でも悪い意味でも私は解放されたのだ。‬

 


いつになるのか分からないが、コロナ禍がおさまったらまた元の私に戻るのだろうか。好きな時に好きなことをすること背徳感と焦りとそして幸せを感じられるようになるのだろうか。

 

 

またいつかのような日常がやってきたら夕方に起きて、ふらっと飲みに出かけよう、気の済むまで好きに飲んでコンビニでラーメンを買って帰ろう、次の日は二日酔いで大学を休んで、キレートレモンとしじみのお味噌汁を飲もう、布団の中で好きなアイドルのYouTubeを堪能して気がついたら朝を迎える。

 

 

そんな非日常の日常が、当たり前の日常がいいな

高校の頃好きだった人の好きだったところ

 

 

背が高いところ

雰囲気が柔らかいところ

女の子と話すのが苦手なところ

声が透明なところ

メガネが似合うところ

素敵な言葉を使うところ

服がダサいところ

友達が少ないところ

丁寧に話すところ

歌が上手なところ

一途なところ

告白を断る返事が長文なところ

今でも誕生日にLINEをくれるところ

彼のことを好きだった自分を好きでいられるところ

 

 

 

 

元彼女として

よく2人で行ったアパート近くのご飯屋さんには、別れてから一度も行っていない

 

 

1年目のクリスマスにもらった指輪は変な形に曲がった

 

 

2年目のクリスマスにもらった腕時計は、すぐに売った

プレゼントをもらってすぐに振られたから

 

 

別れてしばらくは「彼氏が、」と言ってしまって、まあ、もう別れたんだけど、と続けた

 

 

 

嫌いになったのはわたしが先なのに、あいつから離れていった

 

 

一緒にやったバンドの曲は聞かなくなった

 

 

今の彼女はわたしと同じような見た目だ、わたしの方がいいと思うけれど

 

 

別れて1年以上経つ今でも、まともに顔を見て話せない

 

 

敬語で話した方がいいのかな、とか考えるようになった

 

 

呼び方もよく分からなくなって、ていうかなんて呼んでたっけ

 

 

Twitterは見たくないからミュートした、でもたまに検索してわざわざ見る

 

 

インスタはフォローを外した、わたしのことは絶対に載せたがらなかったのに今の彼女はたくさん載せているから

 

 

わたしが開けていたピアスを見るたび嫌がっていたのに、今の彼女と酔った勢いで開けたらしい

 

 

わたしと別れてすぐ、わたしをセフレにしようとした

 

 

飲み会にあんまり行きたがらなかったのに、今は宅飲みも開くみたいだ

 

 

2人で行った温泉に今の彼女と行っていて、何を考えているんだ、と思った

 

 

今でもたまに夢に出てくる、まだ思い合っている頃の夢を見る

 

 

忘れられることも許せることも少ねえわ

 

2人でよく行ったご飯屋さんの前を通ったらなんか考えちゃったや