恋でもないし愛でもないけど

2年前のクリスマスに別れた元彼、わたしと別れて2人の女と付き合っている。どの子も私と仲のいい子だ。1人目は先輩、2人目はサークルの後輩。

 

1人目の女と付き合っている時、別れて日も浅かった。だからSNSで幸せそうな彼をみたくなくて、全ての情報をシャットダウンした。目を瞑った。幸い女もたくさんSNSに載せるタイプではなかったから、心は案外平穏だったように思える。

 

知らないうちに女が変わっていた。私はもう未練がなかったし、私にも新しい恋人ができていた。相変わらず彼のSNSを見ることはしなかったが、いつでも見れる状況にあった。新しい女はSNSによく彼を載せる子だった。

 

今日、さっき、2人が海にいる様子が女のストーリーにあがった。ふと、3年前の夏2人で海に行ったことを思い出した。まだ春で、海には入れなかったけれど、2人で砂浜に座って、言葉を交わして、キスをして。過去に想いを馳せながら、気がつくと何度も何度もその短い3秒のストーリーを、繰り返し見ていた。

 

別に君を求めてないけど、って流行りの歌が頭をよぎる。もう別に、好きなわけじゃないけど、画面に映る彼は私の好きだった彼だった。かつて恋をして、愛した彼だった。どうやら私の思い出の片隅の真ん中には彼がいるらしい。初めて、をたくさん経験したからだろうか。お泊まりも、旅行に行ったのも、私をあげたのも、その彼が初めてだった。

 

もちろん、私は今が1番幸せだ、と思う。私が私でいることを愛してくれる彼がいて、そんな彼を愛しく思う。

 

けれど私は、心が狭いから、2年前に別れた彼が幸せにならなければいいのに、と思っている。今も、前の女の時も、早く別れて仕舞えばいい、そう思っている。私だけが幸せになればいい、あなたは私を忘れられずに、私のことが1番だと思えばいい。私があなたを忘れられないように。匂いとか会話とか仕草とか、そんなものはもう忘れてしまったし、思い出そうとすることもなかった。けれど、歩き方と笑顔だけはずっと残っている。浜辺を歩く彼が振り向いて笑う、私だけが見るはずだったのになあ、って。